今日は、郵便局に行きました。
到着する日付を指定して出したい手紙があり、ポスト投函ではいけなかったのです。
そして郵便局に行く直前には、冷凍庫からとあるものを取り出しておきました。
業務スーパーに行く人なら恐らく知っているであろう「板みたいな冷凍チーズケーキ」です。
近ごろは冷凍チーズケーキを半解凍状態で食べるのにハマっており、出発前に出しておけば帰宅したときにちょうどいい具合に解凍されている算段でした。
郵便局に変な奴がいる
と、郵便局に入る前にはもう気づいていました。
郵便局には不釣り合いな激しい動作で動き回り、怒鳴っている客の姿が、自動ドア越しに見えたからです。
しかしキレてる不審者がいようが、私は郵便局に用事があります。
自動ドアをくぐって中に入ってみると、クソ試合が行われたスタジアムでしか聞いたことがないような怒号がドチャーーーッと耳に流れ込んできました。
ちんまりとした郵便局では受け止められない怒号は反響して少しやまびこっぽくなるので、何だかおかしくて笑いそうに……。いつもヘラヘラしているのが私の個性だと思っていますが、この個性はたまに私の首を絞めてきます。
キレてるのは20~30代くらいの男の人で、見た目は普通っぽかったけれど、たとえ何か粗相をされたとしても外であんなにキレ散らかせるなんてきっと頭がちょっとアレな人なのでしょう。
こいつのせいで時間がかかったら嫌だなあとか、こいつの相手してる局員さん災難だなあとか思いながらキレてる男の真横で待っていると、すぐに奥から別の局員さんが出てきてくれました。
日付指定して手紙を預けて、お金も払って、「ありがとうございます。よろしくお願いします」と局員さんにちゃんとお礼まで言って、後は帰るだけ…、だったのですが、そのとき突然キレ男がこちらをくるり。
そして私に向かって「ハッ!目の前の局員が届けるわけでもないのに、何をよろしくすんねんw」と言ったのです。
失うものなど何もない
突然ですが、そして知っていると思いますが、私は無職です。
たまには働くのですが定職がないので、無職というのが一番しっくりくる気がしています。
既に社会的立場も信用も失っている私はいわゆる「無敵の人」と呼ばれる部類の人間であり、それを嫌がることもせずこれ幸いと好き勝手に生きているのです。
そんな「無敵の無職」なので、キレ男の火の粉がかかったときも、つい反応してしまいました。
「届ける人は別でも、局員が働かな何も届かんくない?」と。
そして切って落とされた、無職VSキレ男という泥仕合の火蓋。
といっても、キレ男はわめき散らすこともなく「しばくぞ…」「ボケが…」とブツブツ言いながら、ただこちらを睨みつけてきます。
私はすごく怒鳴られると踏んでいたので何だか拍子抜けして、マヌケな顔でぽかーんとしていました。
私にもあった、失くしたくないもの
しかしそのとき、ふと脳裏を一枚の板が駆け抜けます。
冷凍庫から出しておいた、チーズケーキです。
途端に私は「何も怖くない無敵の無職」から「急いで帰宅しチーズケーキを食べねばならぬ人」になった気がしました。
ですが、慌てる局員さんを横目にキレ男と対峙しているこの場をどう収めるのが正解なのかわかりません。
でももう、ぶっちゃけそれどころじゃありません。
私は一言「帰るわ」と、なけなしの親切心で帰る旨を伝え、足早に郵便局を出てしまいました。
後ろでキレ男が何か言っていますが、だからもうそれどころじゃねぇって。私は「ごめーん、また今度~」と最強にふわっとした返しをして、とにかく家を目指しました。
そしてやっとの思いで帰宅。
夏日の中早歩きをしたので、めちゃくちゃ暑かったです。
ですがチーズケーキはいい感じの半解凍具合で、アイスみたいなシャリシャリ食感を残してくれていたので、救われた気持ちになりました。
世の中には「何もしない人」という肩書きで生きている人もいるそうですし、私も「無職」ではなく「チーズケーキを食べる人」とか名乗ってもいいかもしれません。
んじゃまた。