「出世したくない」と打とうとすると、かなりの確率で「出生したくない」と打ってしまう。いえいえ出生ならもう済んでます。こんにちは、どぶのごみ子です。
かつて私は、勤めていた会社でスピード出世を果たしました。
ちなみに言うと、スピード出世した理由は私が優れていたからではなく、居心地の悪い社風のせいで先輩たちがボコスカ辞め、後釜がいなかったからです。
「今の中間管理職が辞めることになったから、代わりをやってほしい」という打診を受けた際、
- 出世すれば給料が下がる可能性がある
- 残業が増える可能性もある
- 人の面倒を見る必要まで出てくる
- 結果、出世したくない!
と瞬時に考えましたが、どう対応すべきかテンパり「おっふぇ…うぇ…」としか言えませんでした。
私は…私は…、出世なんかしたくないのにぃぃぃ!!!
と、どこぞのガンダム乗りみたいに自分の気持ちを絶叫できればよかったのですが、テンパった頭で考えて、考えて、考えあぐねた末に、私は出世する道を選びます。
ですが役職どころか会社員という立場もなくし、ニートのような存在になった今になって思えば、あのときの選択は間違っていたと思うのです。
ということで今回は「自分が辞めるとき『後釜やらない?』て後輩に聞いたら、ふつーに断られたよ!出世って断ってよかったんだね!」がテーマです。
出世したくなかった私が昇進を断らなかった原因
心の底から「出世したくない」「今すぐに出世話を断りたい」と思っていた私が、結果として自ら出世することを選んだ原因は2つありました。
- 断るには正当な理由が必要だと思っていた
- 断ったら会社員生活が終わると思っていた
端的に言えば「頭も気も弱かったことが原因」となりますが、一応それぞれ言い訳します。
断るには正当な理由が必要だと思っていた
「会社員は、会社のしがない駒である」と考える私は、心の赴くまま「嫌だから」という理由だけで出世を断ってはいけないと思っていました。
当時の私は、出世を断るには「体調不良」や「介護」「育児」など、誰もが納得せざるを得ない正当な理由が必要だと考えていたのです。
正当な理由をでっち上げて出世を断ることも考えましたが、その後も働き続ける会社で大きな嘘をつくのはとてもリスキーで、そのリスクを乗り越える勇気は持っていませんでした。
断ったら会社員生活が終わると思っていた
これも大きいです。
私は本気で「出世したくないと言えばそのまま窓際にでも追いやられて、日がな一日お空を眺める仕事を言い渡されるのでは…」と怯えていました。
「会社員として出世したい」という気持ちは皆無でも、当時の私は「会社員でいたい」という思いはあったため、断った後のことを考えると怖かったです。
以上の理由から出世を断れなかった私は見事昇進し「ただひたすらに、面倒事を一手に引き受ける人」という名ばかり中間管理職ポジを獲得しました。
昇進してみてわかった、出世を断ってもいい理由
さて、出世後2年ほどは大人しく職務を全うした私ですが、常々うっすら気づき、退職時に確信に変わったことがあります。
それは、出世したくないなら昇進の話はまじで断った方がいいってこと。
ここからは、出世してみたからこそわかる昇進を断ってもいい理由をお話します。
無理に出世しても、ない袖は振れないから
出世を断ってもいい1番でかい理由はこれです。
そもそも「出世したくない」と考えるような人間は、出世する器がない。
さりとて仕事は「スムーズに進めば何でもOK」なところがあるので、器なんてなくても能力や経験を駆使すれば出世後の仕事をこなすことは可能です。
滞りなく仕事が進めば、認めてくれる部下も現れるでしょう。
結果的に、全てがうまくいっているかのように見えたり思えたりするかもしれません。
ですが、存在しない器をあるかのように見せ続ける行為は非常に疲れます。
ない袖をカモフラージュするために腕を振り回し続ければ、誰だって息切れするのです。
出世は一度してしまうとなかなか取り消しが利かないことだからこそ、したくないなら素直に断った方がいいです。
出世を断ってもクビにはならないから
「腕が疲れたから」だけが理由ではないのですが、ない袖をぶるんぶるん振り回しまくった私は結局、出世後たった2年で会社を退職します。
その際、自分の後釜候補として後輩に「私の代わりに管理職やらない?」と聞いてみたところ、キッパリ「やりたくないです!」と断られました。
しかし、彼女はその後クビにはなりませんでしたし、仕事内容はもちろん給料だって横ばいのまま。
そう、あれだけ「出世を断れば不吉なことが起こるに違いない…」と怯えていた私の不安は、単なる杞憂に過ぎなかったのです。
出世を断る社員は会社からすれば「使い勝手の悪い駒」なので、社内評価が下がり、経営が傾けば真っ先にリストラ候補に挙げられるかもしれません。
ですがそれは、今すぐって話でも、確実に起こると約束された話でもない。
それなら、不確定な明日に賭けて嫌々出世するよりも、確定している今日だけを見て心の声に従ったっていいと思うのです。
それどころかスッキリ働けることもあるから
ちなみに、出世を断ったあとの後輩は、断る前よりも何だか楽しそうに働くようになりました。
何でも彼女は「出世を断ったことで会社の評価が一切気にならなくなって、気楽に働けるようになった」そう。
出世を断れば、会社から期待されず二度と昇進できないかもしれませんが、その事実が人の心を軽くしスッキリ働ける場合もあるようです。
もちろん出世を断ったあとにスッキリできるかどうかは個人差があるでしょう。
ですが、出世を断ることで今以上に楽に働ける可能性だってゼロではないのです。何事も、幸か不幸かを決めるのは誰でもなく本人のみですものね。
出世したくない時の断り方
いやいや、お前は断らず出世したじゃん!と言われれば元も子もありませんが、身の丈に合わない経験をして後悔したからこそ「どうやって出世を断るのが正解だったのか」について数えきれないほど考えてきました。
ここからは、私のように「ノーと言えない日本人」に適した出世の断り方を考えます。
基本的には正直に伝えてOK
私が後輩から「出世に興味がないので出世したくないです」と言われ、一太刀で致命傷を負わされたように、出世したくない気持ちは正直に伝えて構いません。
というか、断られる側からすると、下手な嘘で断られるよりも正直な理由で断られたほうが「やりたくない感」が強く伝わってきて引くしかなくなります。
ただ「残業したくない」とか「人の尻拭いなんて真っ平御免」とか言うと、ちょっとばかり角が立ちそうなので要注意。
出世を断りたいときは、本当の意味をざっくり変換して「今の働き方に満足している」「精神的に負担と感じる」のようにぼかしたほうが色々丸く収まるでしょう。
粘られても負けないことが大事
出世話を持ちかけられた際、一応は私も「出世する自信がない」と伝え、やんわりと断る雰囲気は匂わせたのです。
しかし「何言ってるんだ、君ならできるよ!」と、てんで気持ちのこもっていない言葉を掛けられ、嘘だと気づきつつも対処法がわからなかった私はそのまま流されました。
そう、出世話はサラッと断れば高確率で相手に粘られます。
「もっと高みを目指そう!」だとか「皆でサポートするよ!」だとか、うさんくさい台詞フェスティバルが開催されるのです。
ですが、どれだけ粘られても出世したくないのなら絶対に負けてはいけません。
さらに言えば、気安く「え?そうですか?」とか相槌打っちゃって、フェスティバルスに参加する兆しを見せてはいけません。
なぜってそんなもん、口八丁手八丁で粘られた上に丸め込まれるからです。ソースは私!
出世を断るのに必要なのは「出世を断る勇気」「ほどほどに角の立たない理由」「粘られても自分の主張を通し続ける根気」です。
出世を断るならデメリットは覚悟する
幸か不幸かを決めるのは自分自身でも、出世を断った際の「一般的デメリット」を理解し覚悟を持たなければ、自分の幸福を正しく予想することすらできません。
出世を断るデメリットは「社内評価が下がること」に尽きます。
社内評価が下がれば、
- 給料が上がりにくくなる
- 二度と出世のチャンスがなくなる
- リストラ候補になりやすい
このような出来事に見舞われるリスクが高くなるでしょう。
また、自分の部下がゆくゆくは自分の上司になるかもしれません。
個人的には「仕事はただ生きていくために行うものであり、こだわりもプライドも不要」と考えるため、人からの評価はさほど気になりませんし、万一リストラされればちょっと落ち込んでからバイトでも探します。
しかし、人によっては出世を断った後に発生するデメリットに耐えがたい苦痛を感じるケースもあるはずなので、勢いだけで昇進を断るのではなくよく考えることが大切です。
出世したくなかったのに断らなかった私の教訓
「よく考えてもやっぱり出世したくないなら、その昇進は断って大正解!」
が、出世したくなかったのに断らなかった私が得た教訓です。
私が出世を断らなかったのは、会社に非があったわけでも、出世話を持ってきた奴があくどかったわけでもなく、私が自分を客観視できず正解と不正解の間で揺れてしまったことが原因です。
ですが、ごちゃごちゃと難しく考える必要なんて、これっぽちもありませんでした。
嫌なものは嫌だし、
嫌だと感じる時点で適性がないし、
働いて偉くなるだけが大人ってわけでもあるまいし。
この世の社会人全員が、キラキラバリバリ、胸いっぱいの夢とプライドを持って働いていると思ったら大間違い。
ただ、大人になると本心だけでは行動できない部分もあるので、一旦は落ち着いて考えを巡らせることが大切です。
でも、よく考えてもやっぱり嫌なら、たまにはハメ外して素直に生きたっていいんじゃないですかね。私たちは「立派な大人」の前に「欲望に忠実な人間」ですし。
んじゃまた。